「サービス業界におけるソーシャルメディアの商業化」
(2013年度―2014年度・代表)
本研究プロジェクトは、日本のサービス企業がグローバルに展開する際に、ソーシャルメディアをいかに応用し、商業化するについて調査を試みるものである。本研究の目的は三つあり、第一に、サービス業において、異なる文化の消費者がソーシャルメディアによっていかなる影響を受けるか、第二に、ソーシャルメディアがサービス企業(たとえば、ホテル、エアライン、小売など)にいかに効果的に商業化されるか、第三に、サービス企業がソーシャルメディアを通じて、異文化を持つ消費者との長期的なリレーションシップをいかに築き上げるかについて探索することである。
「サービス業界におけるソーシャル顧客関係管理の理論と実践に関する研究」
(2015年度―2016年度・代表)
本研究プロジェクトはソーシャルメディアによる顧客関係管理の効果の低下、ソーシャル顧客関係管理プログラム構築の遅れ、ソーシャル顧客関係管理のプログラム効果の測定尺度の未開発という三つの問題点を解決することを目的として、第一にソーシャルメディアを通じて、企業は顧客との長期的で安定的なリレーションシップをいかに築き上げるか、第二に、企業はより効果的なソーシャル顧客関係管理のプログラムをいかに構築するか、第三にソーシャル顧客関係管理プログラムの効果をいかに測定するかを理論的かつ実証的に探索するものである。その結果、それらを明確にすることができれば、顧客価値を向上させ、企業により大きな利益をもたらすことが可能となる。
「ツーリズム2.0時代のソーシャルメディア・マーケティング競争優位に関する研究」
(2017年度―2019年度・代表)
本研究プロジェクトはツーリズム2.0時代における観光客の購買意思決定プロセスに関する不明確さ、日本の観光業界におけるソーシャルメディア・マーケティング(SMM)活動の遅れとその効果に関する測定指標の未開発、及びソーシャルメディアによるインバウンド戦略の効果の不十分さという3つの問題点を解決することを目的として、①ソーシャルメディアが、観光客の購買意思決定プロセスにいかなる影響を及ぼすか;②企業がSMM戦略のビジネス・モデルをいかに構築し、またその効果をいかに測定するか;③震災や水害などを受けた地域とか、地方の中小都市の地域再生と活性化を実現するために、ソーシャルメディアを通じて、より多くの外国人観光客を呼びインバウンド戦略をいかに遂行するかについて、実証的かつ理論的に探索するものである。
"Protecting international tourists from harm: Developing an effective tourist hazard information system"
(2017年度―2020年度・分担)
Tourism is an important and growing industry for Japan, yet international tourists are vulnerable to natural hazards. Tourists have limited hazard knowledge and difficulty accessing information during disasters. This research aims to (1) understand internatonal tourists hazard information search behavior and (2) develop and test a hazard information support system for internatonal tourists visiting Japan. Such as system will improve tourist decision making before and during a disaster - protecting international tourists and safeguarding an important future industry for Japan.
「観光目的地の競争優位性:訪日客の増加を契機とするDMOマネジャーの役割の変容」
(2019年度―2021年度・分担)
観光立国政策を背景に訪日旅行者が増加し,日本版DMOに登録した観光協会等では,観光めぐる適切なガバナンスの確立,インバウンド市場における競争優位性確保といった経営諸課題が顕在化している。本研究は,これまでの観光行政や観光実務を踏まえつつ,これからの観光地経営のあり方について,DMOマネジャーの役割変容に焦点をあて議論する。実際には,財務的な観点からDMOと産業界とのパートナーシップ制度,顧客・旅行者の観点から観光ガイド事業に関わる諸課題について,バランスト・スコアカードや戦略マップを用いて客観的な数値で成果を可視化し,関係者間の前向きな議論を創出することを,アクションリサーチの方法で検証する。
「日本における外国人観光客に対する住民感情指標の検証」
(2019年度・代表)
近年の訪日外国人観光客の急増によって、経済効果の上昇が報じられる一方、各観光地においては、混雑や交通渋滞などと言ったオーバーツーリズムの問題に直面している。持続可能な観光地を作るためには、観光客向けの対策だけに解決を頼るのには限界があり、外国人観光客に対する住民の態度や感情などを十分に理解する必要がある。本研究は、住民態度における二つの基盤理論―社会的交換理論と社会的表象理論をベースにして、Chen, Hsu and Li (2017)が提唱した「観光客に対する住民感情の概念的モデル」を検証し、観光地の住民が観光客に対してどのように認識し、どのような態度を取っているかを明らかにするものである。また、Hsu, Li and Chen (2016)の「住民感情の理論的モデル」に基づき、「情緒的連帯感」と「文化的距離」との二つの新たな変数を取り入れ、訪日外国人観光客に対する住民の感情と態度の形成をより明確にすることによって、持続可能な観光政策の在り方を検討する。
「ビッグデータの活用によるスマートツーリズム・デスティネーションの構築と価値共創」
(2020年度―2022年度・代表)
スマートツーリズム・デスティネーション(Smart Tourism Destination: STD)は,観光地に競争優位をもたらすための市場戦略の方向の一つとして注目を浴びている。現状では,価値の共創者としての観光客の役割や,観光客,事業者,観光地の間の動的な相互作用についての知識が十分に蓄積されておらず,STDの構築と発展が停滞しているように考えられる。そこで,本研究では観光客から収集されたビッグデータの活用と,STDにおける価値共創を促進させるためにDMO(Destination Management/Marketing Organization)が果たすべき役割に着目して,大阪府及び大阪市のDMOと連携しながら,エコシステムとしてSTDを構築し,発展,維持させるための成功要因を究明する。最終的には,一部地域におけるオーバーツーリズムの解決策や,顧客満足度向上のための効果的な市場戦略などを,STDエコシステムの観点から提案したい。
「持続可能な地域ガバナンスのためのモニタリングツール開発:ポスト・コロナ時代の地域づくりに向けての国際産官学連携」
(2020年度-2021年度・分担)
ポスト・コロナ禍の社会を考える今、感染症対策も含めた「責任ある」行動、事業、地域が求められ、それは観光地域・事業の必須条件ともなる。コロナ以前から課題であった気候変動やオーバーツーリズムへの対応も含め、サステナブルな、またレジリエントな地域づくりへの取り組みは今後一層その重要性が増すと考えられる。その具体的方策は、しかし未だ明確になっていない。2019年、観光庁は「持続可能な観光地づくりのための指標」開発に取り組み、本研究チームはそれを主導してきた(「持続可能な観光ガイドライン(JSTS-D)」)。本事業では、JSTS-Dに基づいた観光地域モニタリングツール(オンライン)の開発に取り組み、その地域ガバナンスにおける有効性を検証する。
「発展途上国の女性起業家をエンパワーメントするための観光ビジネスエコシステムの構築」
(2021年度・代表)
観光産業は、発展途上国で最も急速に成長している経済活動の一つであり、女性が活躍できる産業の一つでもある。この業界の女性起業家は、経済的自立を強化し、自身をエンパワーし、ビジネスを通じて社会的地位を向上させる機会を得られる。一方で、これまでの多くの研究は女性起業家が直面する課題を微視的な視点で論じられてきたが、発展途上国の女性起業家をエンパワーする巨視的な要因についての研究は非常に少ない(Panda, 2018)。本研究は、巨視的な視点である観光ビジネスエコシステム(TBE)を活用し、女性起業家が直面する主要な制約を特定することを目的とする。また、発展途上国の現地政府機関(観光庁など)や地方自治体の職員やスタッフ、ビジネス関連のステークホルダーに対し、観光開発の持続可能な解決策を促進し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援する。
「オンライン・コミュニティが訪日中国人観光客の化粧品購買行動に及ぼす影響」
(2022年度・プロジェクト・リーダー)
本提案の研究目的は、「马蜂窝(マーフォンウォー)」(中国国内最大の旅行情報サイト)と「微博(ウェイボー)」というオンライン・コミュニティが、訪日中国人観光客の化粧品購買意思決定に如何なる影響を与えているのかを明確にしたうえで、訪日中国人観光客に確実にアプローチできるマーケティングコミュニケーションチャネル(B to CまたはC to CまたはB to C to C)を構築することである。また、ソーシャル顧客関係管理の側面からアプローチすることも可能である。 例えば、「马蜂窝(マーフォンウォー)」(C to C)と「微博(ウェイボー)」(B to C)のどちらが、中国人観光客の購買行動により強い影響を及ぼすのか;旅行計画を立てる段階で使用されるオンライン・コミュニティである「马蜂窝(マーフォンウォー)」と、旅行計画と関係のないオンライン・コミュニティである「微博(ウェイボー)」とで、訪日予定の中国人観光客に異なる影響を与えるのかなどを明確にする。
「人工知能が観光客の知名度が低い観光地への旅行意図に与える影響に関する探索的研究」
(2023年度・分担 with Dr. Husna Zainal Abidin, Wakayama University and Dr. Pablo Pereira Doel, University of Surrey)
観光産業におけるデジタル技術の活用は、地域社会が観光を持続的に発展させるための新たな可能性を提供している。持続可能な観光の実現に向けたデジタル技術の活用について、これまでの研究の多くは、持続可能な開発目標を達成するために人工知能(AI)システムを如何に活用するか、持続可能なツーリズム・エコシステムに人工知能とその技術を如何に統合するかというマネジメントの視点からアプローチしてきたが、観光客視点からのアプローチが殆どなかった。そこで、本研究プロジェクトでは、技術の受容と使用の統一理論をフレームワークにして、デジタル技術が観光客の意思決定にどのような影響を与え、それに応じて責任のある観光行動を如何に形成させ、持続可能な観光開発につなげるのかを調査することを研究目的とする。本研究は、観光体験におけるAI技術の応用に関する分野に貢献し、観光客の感情を理解するために生体認証法という新たな研究手法を観光学分野に適用することに意義がある。更に、本研究は技術的進歩を取り入れた持続可能な観光戦略を策定している日本の観光産業に、観光客のニーズによりよく理解するための実践的な指針を提供する。